神様のメモ帳

今回の依頼は、メオという少女からのものである。内容は、「バックをもって逃げろ」という電話のあと、後行方知れずとなった父を捜してほしいというものであった。
アリスは、バックを開ける前に、メオに対して、「今まで多くの人を殺してきたものは、情報。知ることは、死ぬこと。それでも、そのバックを開けるか」とメオの覚悟を試す質問をする。「多くの人の命を奪ってきたのが情報」とは、その通りだ。情報を守るために殺し、情報を奪うために殺す。予備的に可能性があるというだけで、殺す場合もある。当たり前のことであるが、こうして聞くと、その通りだと改めて納得させられる一言だった。
メオの父親は以前やくざだった。そして、やくざ時代やっていた仕事は、マネーロンダリング。そして、父親が、資金洗浄をすることになっていた金額の合計は、3億円だった。しかし、バックの中に入っていたのは、2億円。1億円はどこに消えたのか。
この状況から、アリスたちは、父親が、メオを見捨てて逃げたのではないかと推理する。しかし、かばんの中には現金のほかに、死んだ母親の携帯電話が入っていたことで、その推理が間違い出会ったことに気付く。その待ち受け画面が、家族の写真だったのだ。
メオは、家族とは、血のつながりではなく、同じ家で暮らし、お互いに大切に思い合うものだと言い、父親とのつながりを大切にしていた。そして、メオは、父親を本当の家族だと思っていたため、ずっと、父親が自分を見捨てたわけではないと信じていた。
アリスたち探偵団は、頭も良いし、行動力もある。しかし、様々な推論よりも、家族が生活の中で感じた直感的な思いの方が、真実に近い場合もあるのだということを実感した。

神様のメモ帳2話

メオの居場所が、メオのお父さんを誘拐した者たちに知られ、ラーメン花丸に誘拐犯の仲間たちが訪れる。
なぜ、メオの居場所場知られてしまったのかというと、メオが父親の携帯電話に、ラーメン花丸から電話をしたためだった。メオは、アリスと「父親には連絡をしない」という約束をしていた。それにもかかわらず、メオは、父親に連絡をしてしまったのだ。
このメオの行為に対し、アリスは、「人は抑圧されれば、抗いたくなるってしまう。悲しけれど、約束と反故は一体。」と言う。確かに、人間は、あまのじゃくのような感情をもっている。駄目だと分かっていても、その行動をとってしまう。
とはいえ、メオの感情を、約束を反故にされた本人であるアリスがこのように分析できる点は、さすがだと思う。
鳴海は、メオに「メオの父親がメオを捨てたのではないか」というニュアンスのことを言い、メオを泣かせてしまったことを悔やんでいた。そんな鳴海に対してミンさんは、本当の家族は、他人に何を言われてもかわるものでないと鳴海を諭す。確かに、家族のあり方と言うのは、一家族ごとにちがう。他人からみれば、おかしいと思うような関係でも、その家族の中では、通じ合っている場合はある。本当の家族ならば、ミンさんが言うように、他人から何を言われようと、自分たちの家族のあり方を信じることができるものなのだろう。

神様のメモ帳3話

ミンさんが経営する、ラーメンはなまるに、ラーメンを頼むがラーメンにほとんど口を付けずに帰ってしまう客が現れる。これは、今回限りの事ではなかったらしい。
ミンさんは、この客に対抗意識を燃やし、鳴海と共にスープの改造のため、徹夜をすることとなる。
鳴海がラーメンはなまるで徹夜をしているときに、泥棒が入る。その泥棒が盗んだ物とは、ミンさんのさらしだった。
そこで、ニート探偵の面々は、ミンさんのストーカーのしわさではないかと考えた。そして、ラーメンに手を付けずに帰る客が来る日にさらしが盗まれたために、その客とさらしを盗んだ客が共犯関係にあるのではないかと予想した。
しかし、その客は、ラーメンはなまるに来ているにもかかわらず、防犯カメラに写っていない。そこで、ニート探偵の面々は、次にその客が来た日にしぼりをかけて捜査をすることにした。
そして、いざその日。泥棒が現れた。その泥棒は、下着メーカーのデザイナーだった。彼は、ミンさんがさらしを巻いていることが許せなかったために、さらしをやめて、自分がデザインした下着を付けるべきだと考え、さらしを盗んでいたらしい。
対して、ラーメンにほとんど手を付けない客は、出て行ったミンさんの父親だった。ミンさんは、頑なに、玄関のカギの付け替えを拒否していた。特殊機関で訓練を受けていたような行動をとることのできたミンさんの父親ならば、玄関のカギか変わっていても、開けて中に入ることは可能だろう。しかし、玄関のカギを変えないという行動は、そのカギをもっている人間のことを今でも歓迎するという暗黙の合図である。
ミンさんの玄関のカギだけは絶対に変えないという選択が、ミンさんとその父親を再び引き合わせたのだろう。

神様のメモ帳4話

四代目が鳴海に対して、仕事の依頼をしにやってきた。その仕事の内容とはインディーズバンドのプロモーションの仕事だった。具体的には、次回のライブの広報、宣伝まわりは全て任せるとのことだった。
しかし、この仕事はきな臭いものだった。というのも、四代目が率いる平坂組がこの仕事に関わる前は、柳原会というやくざがらみの事務所が仕事を引き受けていたが、その組がバンドとの契約を切ったために平坂組に持ち込まれた仕事だったからだ。
鳴海の仕事は、はじめは、サイトの写真を撮ったりなどスムーズに仕事は進んでいた。しかし、ライブをするライブハウスに平坂組のことをしつこく聞きに来る人間が現れてから不穏な空気が漂い始める。
そんな中、鳴海は、そのライブハウスで撮影中に、錬次と出会う。錬次は、大阪にいたが、5年ぶりに東京に戻ってきたらしい。
錬次は、鳴海に自分のことを話す。「自分は、何でもすぐに失くす。持ち物も、周りにいる人間も。そして、完全に壊れてしまったものはもう仕方がないから、今度は、失くさないようにしようと思う」と。これに対し、鳴海は、「完全に壊れてしまうものなんてない」と反論する。
以前の鳴海ならば、完全に壊れることがないなんて考えに至ることは無かっただろう。しかし、メオやミンさんのことを見て、ニート探偵の面々と一緒にいて、考えが変わってきたのかもしれない。
アリスは、鳴海が四代目の仕事を手伝うことに嫉妬していた。アリスも、はじめは誰かのことを思い、嫉妬するような人間ではなかったが、鳴海といることで、変わってきたのかもしれない。

神様のメモ帳5話

鳴海は、アリスの使いでカピパラのぬいぐるみを買いに上野公園に寄った際に、錬次と再び出会う。
錬次は、「5年前、自分が以前に東京にいた際に鳴海と出会えていたら変わっていたかもしれない」と言う。そして、「自分は、友達という関係は信じていない」と言い、鳴海と、義兄弟になる。
友達と義兄弟。友達は自然となっているものである。対して、義兄弟は、杯を酌み交わすという儀式が入る。私たちは普段生活していて、どこからが知り合いで、どこからが友達か、親友かで悩むときがあるだろう。それは、人によって、基準がばらばらだからではないだろうか。しかし、義兄弟ならば、杯を酌み交わしたときから義兄弟であるため、基準が明確である。
錬次は、私たちと同じように知り合いや友達、親友の境界線に悩み、友達だと思っていたのにそう思っていたのは自分だけで……。そんな、経験から、何か明確な基準がないと、人を信じることができなくなってしまった。そんな、純粋な一人の人間だったのかもしれない。
平坂組の倉庫から、組のTシャツが盗まれた。そこのカギをもっているのは、四代目と平坂組を四代目と一緒に創設したもう一人だけだった。四代目は、そのもう一人が再び戻ってくることを信じて、倉庫の鍵を以前のままにしておいた。
その平坂組を四代目と共に創設したもう一人と言うのは、鳴海の友人となった錬次だった。
錬次を信じた四代目。そして、その行為を裏切るかのような行動をした錬次。2人の今後はどのようになるのだろうか。

神様のメモ帳6話

仕事の妨害をしているのが錬次だと知って、なお、一人で錬次の元に会いに行った。その際、鳴海は、四代目と錬次の間に何があったのかを聞き、錬次を止めようとするが、鳴海の言葉では、錬次は止まらない。
アリスは、錬次の襲撃の仕方に疑問を抱く。というのは、ライブを中止にしたいのならば、アーティストを襲うのが近道なはずなのに、襲われるのはスタッフばかり。スタッフを襲ったとしても、ライブはすることができるのだ。
人の思いというものは不確かなものである。重さも形も、色も臭いも明確にすることは出来ない。そのような思いの中でなら、矛盾するものですら同居できるのである。しかし、そんな思いが、現実に写し取られたとき、大きなゆがみと痛みを生む。
だからこそ、言葉が必要なのである。なぜなら、言葉は、残酷なまでに確かだからだ。言葉によって、思いは形をもち、同時に形にならなかった部分は死ぬ。だからこそ、言葉にするのは本人でなければならないのだろう。どこの部分を形にし、どこの部分を殺すのか、選択権は、本人にしかないのだ。
鳴海は、バンドのメンバーから、「ライブはやる」という連絡を受け、事件のせいでストップしていたロゴのデザインのため、四代目の知り合いのヨシキの元を訪れる。その際、ヨシキは、四代目のことを、「あいつは無駄に強いし、面倒見いいから人が大勢集まってくる。しかし、あいつを支えられるほど強い人はいないから無理をしている」という。確かに、人の上に立つ人間は自分の重荷を支えてくれる人がいない場合が多く、自分の重荷を仲間の重荷で押しつぶされてしまう人も多い。
もしかしたら、そんな四代目が唯一、自分の重荷を預けることができると思った人が錬次だったのかもしれない。